「目をこすったらダメ」
つい目のあたりがかゆくてこすりかけると、母はよく叱った。
「手洗いとうがい」「背中伸ばして」「目が本に近づきすぎ」
母は割とこまめに叱ってくれたと思う。
でも、たまにバイ菌が入って、めばちこができたことがある。
そうすると、いつも清潔にしたホーローの小さなボウルに
熱湯をさましたぬるま湯でホウ酸を溶かした液を作ってくれた。
よく洗った手で、脱脂綿のかたまりをホウ酸に浸し
目のプクッとふくれてコロコロ痛むところを洗うのだ。
これをすると、決まってよくなった。
大人になって家を出てから、めばちこができたことがある。
薬局でホウ酸を買って、箱に書いてあったとおりにぬるま湯に
溶かして、目を洗ってみた。
やはり、治った。
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めばちこって、なんか懐かしい響きがある。
標準語でいえば「ものもらい」だ。
いや、ちがうよなぁ。
「ものもらい」って、めばちこを見下してるようなニュアンスが感じられる。
めばちこは、めばちこだ。
◎オバンスタナカ◎