通い始めて2年になる千葉大学園芸学部で庭園デザイン研究室が「京都庭園管理実習」を主催するというので若い大学院生、大学生に混じって”還暦爺さん学生”が参加させてもらった。
12月3日からの4日間、木賃宿のようなところに合宿して大宮仙洞御所、修学院離宮、桂離宮、京都御所で早朝から3時ごろまで庭園管理実習をするのだが、その中身は、季節柄、庭に降り積もった膨大な量の落ち葉をかき集めるというもの。これが実に楽しい。すべての雑念を忘れ、超特級の芸術作品である名庭の、それも一年で最高の季節に庭仕事ができる喜びを感じることができた。苔や白砂の上に積もった半端でない量の落葉を熊手、竹箒、箕を使って丁寧にかきあつめていくのだが地下足袋を履いた足になんとも心地好い。東京周辺では気候、土壌が違うのか、足が沈んでしまうほどの柔らかい苔にお目にかかったことが無い。 白砂利を敷きつめた園路や枯山水に積もった落ち葉の処理は混じってしまう砂利を箕を使ってより分けるのにちょっとしたコツを要し時間がかかる。京都御所清涼殿西側に萩壷という中庭があり20株ほどの萩だけが整然と植えられている。ほとんど葉を落とし枯れ枝だけになっているものを根元近くで刈り取り、径10 Cm程度に束ねたものを “とっくり結び””男結び”という造園屋植木屋独特の結び方で締め上げる。これを縦にまとめて庭の仕切りに使うと萩垣となる。もちろん大量の落ち葉もすべてかき集め、あとは白砂だけで萩の株さえ見えない。
関西を離れて40年近く、東京と海外半々の生活をしてきたが、やはり紅葉の京都はすばらしい。昨年も12月の最初の週に勤めていた会社の同期会で京都をおとずれた。祇園のお茶屋で会食、翌日ゴルフという少々贅沢な集まりの合間に清水寺、高台寺、八坂神社の紅葉の庭を楽しみ、その美しさに感動したのであるが、やはり今回とは違う。本来、庭園は公園と違って私的な空間であり蟻の行列のように大勢の人がぞろぞろ歩いて鑑賞するものではなく、”心ある”人たちが少人数で楽しむものであろう。また、今回は見るだけでなく、落ち葉掃除だけではあるが庭の中に入り込んで作業が出来たことに大きな喜びを感じた。そういえば、昨年、高台寺の庭で若い庭師が箕と手箒で苔の上に積もった紅葉を集めていたのを羨ましく眺めていたのを思い出した。
庭の鑑賞は素晴らしいが庭仕事はもっと素晴らしいということを再認識する旅となった。
来年も参加したいのだが今通っているのは大学の2年制のコースなので3月には追い出されてしまう。 還暦爺にはいくらでも時間がある、真剣に留年を考えようか、、、、、、、、、、
千葉県柏市在住 河内のオッサン