お彼岸、墓参りで3つの墓所を回る。私の母は長女で、2人の妹と1人の弟とともに
大連で生まれ育った。戦後の引き揚げで、祖父母の出身地の米子に、母の母と妹二人が落ち着く、母にとってもここが第二の故郷だ。 母の母は40年近く前に他界したが、妹・光子夫婦、と照子の夫、照子の長男の嫁、の4人はこの10年の間に他界、私はいずれの葬儀にも出席できない不義理をしていた。
名峰大山の裾野の小さな町、伯耆町に植田正治写真美術館がある。植田正治は、境港市出身で、フランス芸術文化勲章を始め高い評価を受ける世界的な写真家である。
生まれ故郷の山陰を離れず、この地の砂丘、空、地平線と、人物をはじめとする被写体を自らの演出でオブジェとする写真を撮り続けてきた。作品は豊かな叙情を見る人に与える一篇の詩、金子みすゞ、草野心平等の童謡や詩と並べて展示されている。夕暮れをバックに人物、お寺の門が切絵のように表現された詩情性豊かな作品はそれだけで物語となる。建築家・高松伸のデザインによる美術館も独創的で、芸術選奨文部大臣賞を受けている。建物の一室が巨大なレンズを備えるカメラそのものになっており、天気が良ければ大山の雄大な姿の“逆さ”が壁面に投影される。シンガー・ソングライターの福山雅治が晩年の植田と親交があり、写真の師と仰いでいたことでも知られる。カメラ好きの人には、一度は訪れてもらいたい場所である。
今夜の泊も米子・皆生温泉の照子叔母の家、、50歳を過ぎた従兄弟、従姉妹が、”○○チャン”と呼び合う会話が楽しい。
(3.20 記)
千葉県柏市在住 河内のオッサン