緑モス
若い頃から近眼と乱視だったが、そこへ老眼が加わると、本を読むのが苦痛になった。それまでは眠る前には何かを読んでいたのだが、老眼を契機に読む習慣を放棄した。一挙に読書量が落ちたが、それでもやっぱり読まなくてはならない本もある。読みたい本もある。本は手放せないものだ。 そうなると、いつどこで本を読むのかが問題で、いつも無意識のうちに探してしまっている。今、ベスト3を挙げると、いちばんは何といっても電車のなか。これぐらい集中できて、着実に読み進められる空間はない。ベスト2は、トイレ。まぁ、「トイレ書斎」という向きも多いことだから、これは当然だろう。そして3位は、「喫茶店」というところだが、これがなかなか難しくなってきている。そう、なかなか気に入った喫茶店がみつからなくなってきているのだ。 総務省の事業所・企業統計によると、喫茶店がピークに達したのは、1981年で154,630店。いちばん多かったのは大阪府でシェア14.7%。東京は11.9%。兵庫は6.3%だった。それが2001年には、6割程度の88,933店に激減してしまっている。大阪も22,711店から13,839店へ(シェア15.6%)。兵庫は9,788店から6,843店へ(シェア7.7%)。東京はシェアを落とし、9.5%となった。喫茶店に関しては西高東低という傾向なのだが、それにしても20年で4割も減ってしまっているのだ。バブル崩壊後の消費低迷期に、低価格のチェーン店が急増し、個人店経営では厳しい競争に立ち向かうことは困難になったのだろう。
そんなわけで、私にとっては「街の書斎」ともいえる喫茶店をみつけるのが読書生活を維持する上で不可欠になっている。「街の書斎」の条件は、うるさくないこと。分煙がされていること。他のお客様と適度の距離が保てること。長居しても嫌味な扱いがされないこと。そして、やっぱりコーヒーがおいしいこと。この5つの条件をクリアしてくれるところは、なかなか厳しい。
そんななか、「緑モス」というお店に出会った。モスバーガーなのだが、ファストフードより高価格、高サービスでファミリーレストランより低価格の新業態とのこと。カジュアルな雰囲気なのだが、店内がゆったりしている。
一人でパソコンをしている人もおれば、2人でアルバムを作ったりしている。子どももいるが、音が反響しない構造になっているのか、少々騒いでも気にならない。また、サービスもなかなかだ。コーヒーを注文すると、席まで持ってきてくれる。一緒にお願いした水にも仄かなレモンの香りがした。これは、なかなか快適だ。ただ肝心のコーヒーの味は...。まぁ、190円なのだから、文句はいえない。個人経営では採算割れが確実なスペースとサービスと価格だ。
◎モスバーガー
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